債務整理とはどんな手続き?全種類を比較して解説

「債務整理にはたくさん種類があるって本当?」
「どの種類の債務整理が自分に合っているのか知りたい」

債務整理とは、法律で認められた借金問題解決のための手続きです。

最近では、債務整理についての知識が広まり、債務整理を検討してみようと考える人も増えてきました。債務整理で借金問題を解決した人は、毎年10万人以上にのぼります。

債務整理で解決したい借金の悩みは、「クレジットカードの支払いが苦しくなってしまったので、少ないデメリットでなんとかしたい」というものから、「何社もの消費者金融やカード会社からお金を借りていて、とても返しきれない」というものまで、人によって様々です。

そうした多様な借金に対応できるよう、債務整理には任意整理、個人再生、自己破産、特定調停という4つの種類があります。

この記事では4つの債務整理について、それぞれどんな特徴があってどんな人に向いているのかをまとめたうえで、デメリットの比較も行います。

ぜひ最後まで読んで「自分の借金にはこの債務整理が最適だ」と思えるものを探してみてください。

そもそも債務整理とは何か

債務整理というのは、借金問題を解決するために国が法律で認めている手続きのことで、借金を減額して返済期間を調整してもらったり、返済義務を免除してもらったりすることができます。

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

そのため、4つの債務整理の中から、自分に合った種類を選ぶことがとても大切です。

こんなときは債務整理

それでは、実際に債務整理を検討するべきタイミングはどんなときなのでしょうか。

実は、債務整理をするべき借金の金額や借金をしている期間というのは、決まっていません。

それは、債務整理をするべきタイミングは人によって様々であり、借金額だけでなく、収入や支出のバランスや、将来的に返済を続けられる見通が立つかどうか、といった要素が重要になってくるからです。

とはいえ、債務整理を検討するタイミングは難しくありません。

今の自分を振り返ってみてください。現状で返済が苦しい、今月の返済ができそうにない、今後の返済の見込みが立たない、既に滞納している、借金を返すためにさらに借金をしている……。

もし上記のうち1つでも当てはまるようであれば、債務整理を検討したほうがよいといえます。

また、どの種類の債務整理でもそうなのですが、債務整理を始めるのは遅いよりも早いほうが簡単で済みます。

どの種類の債務整理であっても、債務整理を開始した時点で取り立てが止まるというメリットもありますので、返済が苦しいと思ったら債務整理を考えてみましょう。

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債務整理の種類その1 任意整理

任意整理とは、裁判所を通さずに借金の借入先であるカード会社など(銀行・クレジットカード会社・消費者金融)と直接交渉して、これから支払う利息(将来利息といいます)のカットや返済回数の調整をしてもらう債務整理です。

任意整理でできるのは将来利息のカットのみで、元本は減額されません。ですので、調整してもらった返済回数(60回払い程度になることが多い)で元本を返済していけるだけの収入が必要になります。

任意整理最大のメリット

任意整理のメリットとして最も特徴的なのは、対象とする借金を自由に選ぶことができるという点です。

下でも説明しますが、裁判所を通して行う個人再生や自己破産では、すべての借金を同じように整理しなければいけないというルールがあります。

しかし、任意整理は裁判所を通さずにあくまでも「任意」で行う交渉であるため、すべての借金を含める義務はないのです。

対象とする借金を自由に選べるメリットの例としては、以下のようなものがあります。
・保証人付きの借金を対象から外せば、保証人に迷惑がかからない
・住宅ローンや自動車ローンを対象から外せば、家や車を残して任意整理できる
・口座がある銀行を対象から外せば、銀行口座を凍結されない

任意整理の借金減額効果の例

次に、任意整理をするとどの程度の借金減額効果が得られるのかを、例をあげて説明します。

Aさんは東京スター銀行のスターカードローンで80万円、三井住友VISAカードのキャッシングで40万円、アイフルで50万円の借金をしていました。返済回数はそれぞれ12回、金利は17.5%だったとします。

このままの状態だと、Aさんの毎月の返済額は約15万5000円となります。また、返済総額は約186万5000円、利息は合計で約16万5000円です。

Aさんが任意整理をして、利息をカットしてもらい、返済回数を60回に調整してもらうと、毎月の返済額は約2万8000円にまで減らせます。返済総額は元本の170万円のみとなり、利息は0円になります。

こんな人は任意整理

それでは、任意整理を選ぶべきなのはどのような場合でしょうか。

まず、任意整理の借金減額効果は将来利息のカットのみです。また、任意整理の最大のメリットは、対象とする借金を自由に選ぶことができるという点です。

つまり、対象から外したくない借金が一つもない場合は、次に説明する個人再生を選んだほうが、任意整理より大きい借金減額効果を得られるということになります。

任意整理を選ぶべきなのは、保証人付きの借金(奨学金など)があって保証人に迷惑をかけたくない場合など、借金を自由に対象から外せるというメリットを活かしたい場合です。

加えて、将来利息をカットしてもらい、返済回数を60回程度に調整してもらったうえで、毎月決められた金額を返済していけるだけの収入がなければ、任意整理はできません。

任意整理を詳しく知りたい方はこちら

債務整理の種類その2 個人再生

個人再生とは、裁判所を通して借金を5分の1程度に減額してもらう債務整理です。

裁判所を通して行われる公的な手続きであるため、個人再生ではすべての借金を平等に整理する義務があります。

また、減額してもらった借金を3~5年で返済する必要があるので、それだけの経済力がある人でなければ、個人再生はできません。

なお、個人再生をすることができるのは5000万円までの借金と法律で定められています。

個人再生最大のメリット

個人再生には、「住宅ローン特則」という制度があります。

住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンが残っている家を手元に残したまま、借金を整理することができます。

具体的に言うと、住宅ローンは個人再生の対象から外されるため、住宅ローンの支払いを続けながら、5分の1に減額してもらった他の借金を返済していくという形になります。

なお、住宅ローン特則が利用できるのは、「他の借金の担保になっておらず、本人が所有していて、本人が現在住んでいる家」という条件があります。

親と共有の家でも大丈夫ですので、今住んでいる家で他の借金の担保になっていなければ、ほとんどの場合住宅ローン特則を適用することができます。

個人再生の借金減額効果の例

個人再生では、これから払わなければならない利息が0円になることに加えて、借金の元本自体も5分の1程度に減額してもらうことができます。

例えば、借金が1000万円あったとすると、返済額は200万円にまで減額してもらえます。

ただし、家や土地、車などの財産がある場合は、その財産をお金に換えたときの価値(清算価値といいます)以上の金額を返済しなければならないという義務があります。

例えば、借金が500万円だとすると、個人再生なら通常では100万円に減額されるのですが、300万円の価値がある車を持っている人は、300万円を返済しなければならないという感じです。

そのため、減額してもらった借金の金額よりも、財産をお金に換えた時の金額が高い場合は、個人再生をする意味自体がないということもあります。

こんな人は個人再生

個人再生は任意整理より借金減額の効果が大きいですが、すべての借金を対象としなければならないというルールがあります。

そのため、対象から外したい借金がある場合は任意整理、そうでなければ個人再生がよいといえるでしょう。

また、個人再生では、住宅ローン特則という制度を利用することで、ローンが残っている自宅を残したまま借金を整理することができます。

ですので、ローンが残っている自宅がある人は個人再生が最適であることが多いです。

債務整理の種類その3 自己破産

自己破産とは、財産をすべて処分する代わりに、借金の返済義務をすべて免除してもらう債務整理です。

自己破産も裁判所を通した公的な手続きであるため、すべての借金を同じように整理する義務があります。

自己破産しても残る財産

自己破産では財産を処分することになりますが、生活に必要な最低限の財産は手元に残すことができます。

具体的には、99万円以下の現金と、衣服や寝具、家具・家電などが生活必需品にあたります。

また、足が不自由な人の車いすのように、本人の事情で生活に欠かせないものや、農家の人の農具のように、仕事をするのに必須となるものも、裁判所の裁量で残してもらうことができます。

こんな人は自己破産

任意整理や個人再生では、整理した後の借金を返済していく必要があるため、十分な収入が継続的に得られる人でなければ、選択することができません。

けがや病気で働くことができない、失業した後で就職できていないなど、借金返済に充てられる十分な収入がない人も、自己破産を選ぶことで人生を再スタートすることができます。

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債務整理の種類その4 特定調停

特定調停とは、裁判所に仲介してもらったうえで、借金の借入先であるカード会社などと交渉して、将来利息を0円にしてもらったり、返済期間を3~5年に調整してもらったりする債務整理です。

特定調停では、裁判所で「調停委員」と呼ばれる担当者の指導を受ける、資料を集めるなどの準備を自分でする必要があります。

特定調停最大のメリット

特定調停は任意整理と似ていますが、仲介を弁護士ではなく裁判所に依頼するため、費用が安く済むことが最大のメリットです。

こんな人は特定調停

任意整理を検討してみたけれども弁護士費用が気になった場合、平日の日中に自分で裁判所に行って手続きができ、調停委員の指導のもとで資料を集めることができる人であれば、特定調停を選ぶことができます。

債務整理のデメリットを種類ごとに比較

すべての債務整理に共通のデメリット

まず、どの債務整理をしても、「ブラックリストに載る」というデメリットがあります。

ブラックリストに載るとはどういうことかというと、信用情報機関という機関に「債務整理をした」という信用事故の情報が登録されることをいいます。

信用情報機関とは、銀行・クレジットカード会社・消費者金融といった、お金を貸す事業を行っている会社が加盟している機関です。

信用情報機関はクレジットカードの利用状況や債務整理の状況などの「信用情報」を集めて管理しており、お金を貸す会社はその信用情報を参照することで、相手に返済能力があるかどうかを調べているのです。

そのため、債務整理をしたという事故情報があると、以下のようなことができなくなります。

・クレジットカードの利用・新規作成
・自動車ローンや住宅ローン、カードローンなどの借金
・借金の保証人になること

なお、債務整理をしたという信用事故の情報が登録される期間は、任意整理や特定調停なら5年程度、個人再生や自己破産なら5~10年程度となっています。

この期間が過ぎれば、上記のような制約はなくなり、元のようにクレジットカードの利用などができるようになります。

任意整理のデメリット

任意整理は、他の債務整理よりも借金減額効果が少ないというデメリットがあります。

個人再生では借金を5分の1程度に減額、自己破産では借金の返済義務自体が免除となりますが、任意整理では将来利息が0円になるだけで、元本の返済義務は残ります。

そのため、他の債務整理よりも返済額が多くなりますので、返済していくために求められる経済力も比較的大きくなります。

個人再生のデメリット

個人再生は、減額された借金を3年(事情がある場合は最大5年)で返済しなければならないというデメリットがあります。

そのため、返済に必要なお金を継続的に得ることができる人でなければ、個人再生はできません。

また、裁判所を通す手続きであるため、すべての借金を平等に整理しなければならず、債務整理したくない借金があっても外すことができないという点もデメリットであるといえます。

自己破産のデメリット

自己破産では、生活に必要な最低限の財産を除き、すべての財産を処分する必要があります。

また、自己破産の手続き中は、特定の職業に就くことができない、引っ越しや旅行をする場合には裁判所に知らせなければならないというデメリットもあります。

こうした制約は、自己破産の手続きが完了した時点で解除され、元通りの生活ができるようになります。

債務整理のデメリットはバレること?

債務整理のデメリットとして、周りの人にバレるということを心配している人も多いと思います。

しかし実際には、弁護士に依頼すれば、周りの人に知られずに債務整理を行うことができるのです。

弁護士に依頼して債務整理をすれば、借入先のカード会社などや裁判所からの郵便物や電話連絡は、弁護士事務所に宛てられますので、そこから家族や会社の人に債務整理をしたことがバレる心配はありません。

また、自己破産や個人再生など裁判所を通す手続きだと、国の新聞である「官報」に情報が記載されますが、官報を読む人はごく限られた人しかいないので、ここから債務整理がバレることもまずありません。

そのため、債務整理が周りの人にバレることはほとんどないといえます。

債務整理にかかる期間を種類ごとに比較

債務整理にかかる期間は、交渉相手となるカード会社などや、依頼する弁護士によって多少違いますが、大まかにいって以下のようになっています。

任意整理:6か月~12か月程度
自己破産:3か月~6か月程度
個人再生:7か月以上
特定調停:2か月~3か月程度

まとめ

・債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類がある
・債務整理のタイミングに基準はなく、返済が苦しいと自分で思ったら検討するとよい
・任意整理では対象を自由に選んで利息のカットや返済期間の調整をしてもらえる
・個人再生ではローンがある自宅を残して借金を5分の1程度まで減額してもらえる
・自己破産では財産を処分する代わりに、借金の返済義務をすべて免除してもらえる
・特定調停では費用を抑えて任意整理と同じ借金減額効果を得られる
・債務整理共通のデメリットはクレジットカードやローンの利用が一定期間できないこと
・債務整理をしても、周りの人にバレる可能性はほとんどない